孔子に学ぶ--論語1
2019年5月24日
みなさん、こんにちは。東洋と西洋の知の融合研究所事務局の瀧上です。私が論語を勉強していく中で興味深いと思ったことをシリーズでお伝えしていきます。
人間の本質を説いた『論語』は、いまから約2500年前の中国・春秋時代に生きた、儒教の祖である孔子とその高弟の言行を記録した書物です。『論語』は古来より現在に至るまで、多くの人の関心を惹きつけ、心の拠り所になっています。なぜでしょうか。
それはその人たちが「どんな混迷な時代にあっても翻弄されることなくしなやかで強く幸せな人生を送りたい。そのためには自分の中に『ぶれない軸』をつくることが必要」だと考えるからで、『論語』はまさにその軸をつくるための教えが記されているからだと思います。
ここで論語の中から一節紹介しましょう。
子曰く、人能く道を弘む。道人を弘むるに非ず。
道とは、人としてあるべき姿、人が人であるために求められる正しいことを指します。論語でいう道とは、現実の世の中で生きていくうえで必要な守るべき道徳、人としての規範ということです。確固たる道徳が最初にあって、それに合わせて人がこうしなくてはと行動するのではなく、これが正しいのではと思って行動することこそが道徳を作っていく。
私たちは外部から押し付けられたことを守るのが道徳と捉えがちです。そうではなくてひとりひとりが「これが人としてあるべき姿だろう」と思って行動することで道徳が作られる。孔子はさまざまな場面で道を説いていますが、それは決まり切ったこととして守ればいいという処方箋のようなものではなく、そもそも形がない道を拡げていく可能性を人間は持っているし、発揮することを私たちは期待されているのだと思います。
2500年前に生きていた孔子が人はおのずと正しい行動をとると信じていたとは驚きですね。今後も論語を紹介していきたいと思います。